この記事では、キャンバス上に下絵を表示して絵を描く方法について説明します。 写真などを下絵として表示し、透かしながら、なぞるように絵を描く、ということです。
なお、下絵を表示するためにレイヤの機能を利用しています。 レイヤについては後ほど、知っておきたい機能 > オブジェクトをレイヤで管理 > レイヤの使い方(キャンバスを層に分ける)で詳しく説明します。
ではキャンバス上に下絵を表示させ、透かして絵を描く手順について説明します。 まずは、何でもいいので下絵となる画像を用意してください。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"ファイル(F)" -> "インポート(I)..."を実行します(またはキーボードのCTRL + Iを押します)。
上図のようにインポートするファイルの選択ウィンドウが開きます。 用意した下絵の画像ファイルを選択し、[開く(O)]ボタンを押してください。
上図のようにjpeg ビットマップ画像のインポートウィンドウが開きます。 デフォルト設定のままで[OK(O)]ボタンを押してください。
上図のように指定した画像ファイルがインポートされます。 なお、読み込まれた画像が配置される場所はマウスカーソルの位置です。 そのため、キャンバスには収まっていません。
上図のように下絵の画像を適切な位置・大きさに調整します。 CTRLキーを押しながら矢印をドラッグすることで、縦横比を維持したまま大きさを調整することができます。
続いて、下絵の画像の角度を調整しましょう。 今回の例では、反時計回りに90度回転させます。
上図のように画面上部にあるツールコントロールの[反時計回りに90°回転]ボタン()を押します。
上図のように下絵の画像を適切な角度に調整します。
では次に、レイヤの名前を変更します。 レイヤの役割を人が見てわかりやすくするためです。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "レイヤー名を変更(N)..."を実行します。
上図のようにレイヤー名を変更ウィンドウが開きます。 レイヤー名を "下絵" に変更して[名前を変更(R)]ボタンを押します。
ではここで、画面下部の通知エリアの左にあるレイヤ情報欄を見てください。
上図のようにレイヤの名前が "下絵" となっています。 レイヤの名前が変更されたことが確認できました。
では続いて、"下絵" レイヤをロックします。 ロックすると、そのレイヤのオブジェクトは選択することができなくなります。
上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタン()を押します(開いた鍵のボタンです)。
上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーのロック/ロック解除]ボタン()の鍵が閉じます。
これはレイヤがロックされたということであり、下絵の画像を選択することはできなくなりました。
また、レイヤの名前の表記が "下絵" から "[下絵]" に変化しています。 ロックされると "[]" で囲まれます。
では次に、絵を描くレイヤを作成しましょう。 今回の例ではバナナを描くので "バナナ" という名前にします。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "新規レイヤー(A)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Nを押します)。
上図のようにレイヤーを追加ウィンドウが開きます。 レイヤー名に "バナナ" と入力し、[追加(A)]ボタンを押してください。
上図のように "バナナ" という名前のレイヤが追加されます。 また、この "バナナ" レイヤは選択状態になっています。
ではここで下絵の画像をクリックしてみましょう。
上図のように下絵の画像をマウスの左ボタン()でクリックします。
上図のように下絵の画像は選択されません。 ロックされていると、このように選択できなくなります。
これで下絵の画像は準備できましたので、後はバナナを描くだけです。 ペンツールなどでバナナの形に沿ってパスを作成しましょう。
上図のように下絵の画像に沿ってパスを作成しました。 このように、上から絵を描くと下絵の画像は見えなくなります。
下絵の画像を見る方法は2つありますが、まずは "バナナ" レイヤを非表示にする方法でやってみましょう。
上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタン()を押します(開いた目のボタンです)。
上図のようにレイヤ情報欄の[レイヤーの表示/非表示]ボタン()の目が閉じます。
これはレイヤが非表示になったということです。
では、キャンバスを見てみましょう。
上図のように "バナナ" レイヤのオブジェクトが非表示になります。 下絵の画像が見えるようになりました。
ただし、この方法だと下絵の画像を透かして絵を描くことはできません。 上層の絵と下絵の画像の両方が見えるようにしましょう。 上層レイヤを半透明にすることで、下絵の画像も見えるようにします。
まずは、レイヤーダイアログを開く必要があります。 レイヤーダイアログは、レイヤを管理するためのダイアログです。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "レイヤー(S)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Lを押します)。
上図のようにレイヤーダイアログが開きます。 上部にはレイヤ一覧があり、その下にはレイヤ操作用のボタンがあります。 また、さらに下にはブレンドモード・ぼかし・不透明度があります。
では、"バナナ" レイヤを半透明で表示させましょう。
上図のようにレイヤ一覧の "バナナ" レイヤの[レイヤーの表示/非表示]ボタン()を押します。
さらに、不透明度を 50% に変更し、ダイアログのタブの[×]ボタン(
)を押してダイアログを閉じます。
上図のように "バナナ" レイヤが半透明で表示されます。 これで、下絵の画像を見ながら上層レイヤで絵を描けるようになりました。
Inkscapeでは、JPEG形式やPNG形式、BMP形式などの一般的な画像ファイルであればインポートで読み込むことができます。 読み込んだ画像を下層レイヤに配置してロックすることで、下絵の画像として利用することができます。
上層レイヤの不透明度を変更して半透明にすることで、下絵の画像と上層の絵の両方を見ながら作業できるようになります。