前の記事の『線形グラデーションと放射グラデーション(段階的な色の変化)』からの続きです。 引き続き、線形グラデーションと放射グラデーションの利用例を解説します。
では続いて、色フェーズの追加を行ってみましょう。 色フェーズとは、色を設定するための基点のことであり、線形グラデーションの始点・終点が色フェーズです。
初期状態では色フェーズは始点・終点のみですが、自分で中間点の色フェーズを追加することができます。
色フェーズを追加するには、既存の色フェーズを選択する必要があります。 ただし、終点を選択しても色フェーズは追加できません。 よって、初期状態では始点を選択するしかありません。
上図のように始点を選択します。 これで、色フェーズの追加の準備ができました。 では、始点の次の地点として新たな色フェーズを追加しましょう。
上図のように画面上部のツールコントロールの[新しい色フェーズを挿入]ボタン()を押します(またはキーボードのINSERTキーを押します)。
上図のように中間点の色フェーズが追加されます。 中間点の色フェーズは菱形ハンドルで描かれます。 なお中間点は、文字通り両側の色フェーズの中間地点に追加されます。
では、中間点に色を設定しましょう。 今回は青色を設定します。
上図のように色の入力欄の R G B A にそれぞれ 0 0 255 100 を入力してください。
上図のようにグラデーションの中間点の色が青色に変わりました。 それにより、緑色 → 青色 → 赤色のグラデーションになりました。 このように、3色以上に変化するグラデーションも作成することができます。
次に中間点を移動させてみましょう。 ただし、マウスでのドラッグやキーボードのカーソルキー(↑↓←→)ではなく、ツールコントロールの数値入力で移動してみましょう。
上図のように画面上部のツールコントロールのオフセットに 0.2 を入力します。
上図のように中間点が移動します。 オフセットに 0.2 を入力したため、始点側から20%の位置に移動しました。 なお、0.5 であれば中間地点に、0.0 であれば始点と同じ位置に、1.0 であれば終点と同じ位置に移動します。
なお、中間点は始点と終点を結ぶ線上にしか配置できません。 つまり、スライドさせることしかできません。 あくまでも線形グラデーションであり、途中でカーブするグラデーションにはできないということです。
では次に、色フェーズを削除してみましょう。 削除するのは始点です。
上図のように始点を選択します。 では、始点の色フェーズを削除しましょう。
上図のように画面上部のツールコントロールの[色フェーズを削除]ボタン()を押します(またはキーボードのDELETEキーを押します)。
上図のように始点が削除され中間点が新たな始点となります。 元の始点が削除されたため、青色 → 赤色のグラデーションになってしまいました。
新たな始点に緑色を設定し、緑色 → 赤色のグラデーションに戻しましょう。
上図のように始点を選択します。
上図のように色の入力欄の R G B A にそれぞれ 0 255 0 100 を入力してください。
上図のように始点の色が緑色に戻りました。
続いては、画面上部のツールコントロールの "新規:" のボタン( /
/
/
)について解説します。
上図のように[放射(楕円または真円)グラデーションを作成]ボタン()と[ストロークのグラデーションを作成]ボタン(
)を選択してください。
上図のように何も変化しません。
なぜかというと、ツールコントロールの "新規:" のボタン( /
/
/
)は、既存のグラデーションの種類や対象を切り替えるためのボタンではないためです。
上記のボタン群は、新たにグラデーションを作成する際の設定を行うためのボタンです。 なお、すでにグラデーションを持っているオブジェクトの場合は、上記ボタンの設定を持つグラデーションで上書きされます。
新たにグラデーションを作成するには、オブジェクトを選択した状態でマウスの左ボタン()でドラッグします。
ドラッグ開始点がグラデーションの始点に、終了点がグラデーションの終点になります。
では、[放射(楕円または真円)グラデーションを作成]ボタン()と[ストロークのグラデーションを作成]ボタン(
)が選択された状態のまま、選択中のオブジェクトのストロークをドラッグしてみましょう。
上図のように選択中のオブジェクトのストロークをドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。
上図のようにストロークに放射グラデーションがかかりました。 2本の丸ハンドルを持っていることから放射グラデーションだとわかります。
このように、グラデーションツールでドラッグすることでもオブジェクトにグラデーションをかけることができます。 つまり、フィル/ストロークダイアログに頼らずにオブジェクトをグラデーションで塗ることができる、ということです。
ではここで、色フェーズの選択を解除してから、フィル/ストロークダイアログ『フィル』タブに注目してください。
上図のようにグラデーションの一覧に新たなグラデーションが追加されています。 これは、ストロークの放射グラデーションで追加されたグラデーションです。
重要なのは、『フィル』タブのグラデーションの一覧に表示されているということです。 これは、グラデーションの一覧には、ドキュメント内に存在する全ての線形グラデーション・放射グラデーションのグラデーションが表示されるためです。 そのため、ストロークで使われているグラデーションであっても、『フィル』タブに表示されるわけです。
では、新たに追加された "2875" のグラデーションの名前を変えましょう。 ただし、『フィル』タブで名前をクリックしないでください。 『フィル』タブでクリックしてしまうと、"2875" がフィルのグラデーションとして選択されてしまいます。
上図のように『ストロークの塗り』タブに切り替えてから名前の欄をクリックしましょう。
上図のようにグラデーションの名前を変更します。 今回は "For_Stroke" に変えてみました。
では、『フィル』タブに戻しましょう。
上図のように『フィル』タブに戻します。
では、この辺で一区切りしましょう。 続きは次の記事を参照ください。
色フェーズとは、色を設定するための基点のことであり、線形グラデーションの始点・終点が色フェーズです。 初期状態では始点・終点の色フェーズしか作成されませんが、自分で中間点の色フェーズを追加することもできます。 中間点はいくつでも追加することができるため、3色のグラデーションはもちろん、4色でも5色にでも変化させることができます。
色フェーズを追加するには、まずは既存の色フェーズを選択しておく必要があります。 ただし、終点を選択しても色フェーズの追加はできません。 よって、初期状態では始点を選択することになります。
既存の色フェーズを選択したら、画面上部のツールコントロールの[新しい色フェーズを挿入]ボタン()を押します。
すると、新たな色フェーズが追加されます。
なお、中間点の色フェーズのハンドルは菱形で描かれます。
また、不要になった色フェーズは、ツールコントロールの[色フェーズを削除]ボタン()を押すことで削除することができます。
中間点の色フェーズも、始点・終点の色フェーズと同じようにマウス操作・キーボード操作で移動させることができます。 なお、中間点の色フェーズは、始点と終点を結ぶ線上にしか位置することができません。 つまり、スライドさせることしかできません。 なお、ツールコントロールのオフセットでも位置を指定できます。 オフセットが 0.5 なら中間地点となり、0.0 なら始点と同じ位置、1.0 なら始点と同じ位置になります。
ツールコントロールの "新規:" のボタン( /
/
/
)はオブジェクトを新たなグラデーションで塗る場合の指定を行うためのボタンです。
既存のグラデーションの種類や対象を切り替えるためのボタンではありません。
選択中のオブジェクトをマウスの左ボタン(
)のドラッグすると、"新規:" のボタン(
/
/
/
)のボタンの選択に応じてグラデーションがかかります。