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オブジェクトのスナップ(吸い寄せ)

  

オブジェクトを他のオブジェクトやグリッドに吸い寄せる

この記事では、オブジェクトのスナップの機能について説明します。 スナップとは吸い寄せのことで、オブジェクトの移動や変形の操作の際に他のオブジェクトやグリッドなどに吸着させることができます

 

スナップされる対象もスナップ先となる対象も、かなり細かく指定することができます。 つまり、『何をどこに吸着させるか』の『何を』も『どこに』も、細かく指定できるということです

SHIFTキーを押している間はスナップが一時的に無効になる

SHIFTキーを押している間は一時的にスナップが無効になります。 覚えておきましょう。

色々とスナップさせてみる

では、実際にオブジェクトをスナップさせてみましょう。

1. 2つの矩形と1つの楕円
1. 2つの矩形と1つの楕円

上図のように2つの矩形のシェイプと1つの楕円のシェイプを作成します。

次に、グリッドを表示します。 グリッドとは、オブジェクトを吸い寄せるために使える格子状の線のことです

2. 表示(V) -> ページグリッド(G)を実行
2. 表示(V) -> ページグリッド(G)を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"表示(V)" -> "ページグリッド(G)"を実行します(またはキーボードの#を押します)。

3. グリッドが表示される
3. グリッドが表示される

上図のようにキャンバス上にグリッドが表示されます。 なお、このグリッドは省略表示されています。

初期設定では、グリッドは1ピクセル間隔で引かれるように設定されています。 ただし、通常の表示倍率で1ピクセルごとに線を引いてしまうと線で埋め尽くされてしまいます。

そのためInkscapeでは、表示倍率に応じてグリッドの表示を最適化しています。 例えば、20本に1本だけ表示する、という具合です。

では次にグリッドの間隔を変更します。 グリッドの間隔はドキュメントのプロパティで指定します。

4. ファイル(F) -> ドキュメントのプロパティ(D)...を実行
4. ファイル(F) -> ドキュメントのプロパティ(D)...を実行

上図のように画面上部のプルダウンメニューの"ファイル(F)" -> "ドキュメントのプロパティ(D)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Dを押します)。

5. ドキュメントのプロパティダイアログ
5. ドキュメントのプロパティダイアログ

上図のようにドキュメントのプロパティダイアログが開きますので、『グリッド』タブをクリックします

6. X方向の間隔(X)とY方向の間隔(Y)をそれぞれ200に
6. X方向の間隔(X)とY方向の間隔(Y)をそれぞれ200に

上図のように『グリッド』タブに切り替わりますので、X方向の間隔(X)とY方向の間隔(Y)にそれぞれ 200 を設定します。 なお、グリッドの単位はピクセルのままにしてください。 設定したらダイアログを閉じましょう

7. グリッドの間隔が200ピクセルになる
7. グリッドの間隔が200ピクセルになる

上図のようにグリッドの間隔が200ピクセルになります。 なお、グリッドは省略表示はされておらず、全ての線が表示されています。 さすがに200ピクセルだと、よほど表示倍率が小さくなければ省略表示されることはありません

  
説明のためにグリッドの間隔を200に設定しましたが、ほとんどの場合で、グリッド間隔は初期値の1ピクセルのままがオススメです。 表示倍率に応じてグリッドの表示が最適化されるためです。

続いて、スナップの設定を行います。 スナップの設定は、画面右部にあるスナップバーから行います。

8. [スナップ有効]ボタンをオン
8. [スナップ有効]ボタンをオン

上図のように画面右部にあるスナップバーの[スナップ有効]ボタン([スナップ有効]ボタン)をオンにします。 なお、他のボタンはオフにしておきましょう

[スナップ有効]ボタン([スナップ有効]ボタン)は、スナップの機能の有効/無効を切り替えるボタンです。 このボタンがオンになって初めてスナップの機能が働きます

では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみてください

9. どこにもスナップされない
9. どこにもスナップされない

上図のようにシェイプはどこにもスナップされません。 スナップされない理由は、『何をどこに吸着させるか』の『何を』と『どこに』の両方ともが設定されていないからです。

スナップの機能は有効ですが、スナップされる対象もスナップ先となる対象も存在しないということです

次に、境界枠関連のスナップを有効にします。 なお、境界枠とはバウンディングボックスのことです。

  
バウンディングボックスとは、オブジェクトを囲む最小の矩形の枠のことです。 矩形(くけい) 矩形(くけい) とは全ての角が90度の四角形のこと、つまり正方形か長方形のことです。
10. [境界枠にスナップ]ボタンをオン
10. [境界枠にスナップ]ボタンをオン

上図のように[境界枠にスナップ]ボタン([境界枠にスナップ]ボタン)をオンにします。 では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみましょう

11. どこにもスナップされない
11. どこにもスナップされない

上図のようにシェイプはどこにもスナップされません。 なぜスナップされないのでしょうか。 理由は、[境界枠にスナップ]ボタン([境界枠にスナップ]ボタン)は、バウンディングボックス関連のスナップの機能の有効/無効を切り替えるだけだからです。

つまり、『何をどこに吸着させるか』の『何を』も『どこに』も、いまだ設定されてはいないということです。 では、『何を』と『どこに』を設定してみましょう

12. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオン
12. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオン

上図のように[境界枠の角にスナップ]ボタン([境界枠の角にスナップ]ボタン)をオンにします。 このボタンをオンにすると、バウンディングボックスの角がスナップ対象になります。 なお、スナップされる対象でもあり、スナップ先となる対象でもあります

つまり、『何を』と『どこに』の両方の対象に、バウンディングボックスの角が加わりました。 では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみましょう

13. 矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの角にスナップされる
13. 矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの角にスナップされる

上図のように矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの角にスナップされます。 つまり、バウンディングボックスの角同士が吸着されました

  
スナップされた位置には少しの間だけ赤色の×が表示されます

では次にバウンディングボックスの角のスナップを無効にし、バウンディングボックスの辺のスナップを有効にします。

14. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオフ / [境界枠のエッジにスナップ]ボタンをオン
14. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオフ / [境界枠のエッジにスナップ]ボタンをオン

上図のように[境界枠の角にスナップ]ボタン([境界枠の角にスナップ]ボタン)をオフにし、[境界枠のエッジにスナップ]ボタン([境界枠のエッジにスナップ]ボタン)をオンにします。

では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみましょう

15. どこにもスナップされない
15. どこにもスナップされない

上図のようにシェイプはどこにもスナップされません。 なぜスナップされないのかというと、[境界枠のエッジにスナップ]ボタン([境界枠のエッジにスナップ]ボタン)は、バウンディングボックスの辺をスナップ先となる対象にはしますが、スナップされる対象にはしないためです。

つまり、バウンディングボックスの辺は『どこに』の対象にだけ加わり、『何を』の対象には加わっていないのです

ではここで、再びバウンディングボックスの角をスナップの対象に加えましょう。

16. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオン
16. [境界枠の角にスナップ]ボタンをオン

上図のように[境界枠の角にスナップ]ボタン([境界枠の角にスナップ]ボタン)をオンにします。

では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみましょう

17. 矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの辺にスナップされる
17. 矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの辺にスナップされる

上図のように矩形のバウンディングボックスの角が楕円のバウンディングボックスの辺にスナップされます。 このようにバウンディングボックスの辺は『どこに』の対象にはなりますが、『何を』の対象にはなりません

次に、バウンディングボックスの辺のスナップを無効にし、グリッドへのスナップを有効にします。

18. [境界枠のエッジにスナップ]ボタンをオフ / [グリッドにスナップ]ボタンをオン
18. [境界枠のエッジにスナップ]ボタンをオフ / [グリッドにスナップ]ボタンをオン

上図のように[境界枠のエッジにスナップ]ボタン([境界枠のエッジにスナップ]ボタン)をオフにし、[グリッドにスナップ]ボタンをオンにします。

では、赤色の矩形のシェイプをマウスで動かしてみましょう

19. バウンディングボックスの角がグリッドにスナップされる
19. バウンディングボックスの角がグリッドにスナップされる

上図のようにバウンディングボックスの角がグリッドにスナップされます。

このように、Inkscapeのスナップの設定はやや難解です。 ボタンによっては、『どこに』の対象にはなるが『何を』の対象にはならない、というものがあるためです

次の記事へ

では、そろそろ一区切りします。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

スナップとは吸い寄せの機能のことで、ガイドやグリッドおよび他のオブジェクトにピッタリと寄せることができます。

グリッドは表示・非表示を切り替えることができ、線の間隔はドキュメントのプロパティダイアログで設定することができます。

操作/コマンド 説明
# グリッドの表示/非表示を切り替える
SHIFT + CTRL + D ドキュメントのプロパティダイアログを開く

スナップは[スナップ有効]ボタン([スナップ有効]ボタン)で有効/無効を切り替えることができます。 スナップの動作は、画面右部にあるスナップバーから設定できます。 各部位についてスナップの有効/無効を設定できます。

操作/コマンド 説明
[境界枠のエッジにスナップ]ボタン バウンディングボックスの辺
[境界枠の角にスナップ]ボタン バウンディングボックスの角
[グリッドにスナップ]ボタン グリッド
※グリッドが表示されている時だけ

なお、SHIFTキーを押している間は一時的にスナップが無効になります。

操作/コマンド 説明
(オブジェクトの移動中)
SHIFTキー
一時的にスナップを無効にする
 
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