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メッシュグラデーション(格子状・円錐状の色の変化)(その2)

  

格子状・円錐状の複雑なグラデーション(続き)

前の記事の『メッシュグラデーション(格子状・円錐状の色の変化)』からの続きです。 引き続き、メッシュグラデーションの使い方について説明します。

メッシュグラデーションでバナナを描いてみる(続き)

では続いて、メッシュを作成しましょう。 すでに説明したように、メッシュとは格子状(または円錐状)の網目のような枠のことです

21. メッシュツールを選択
21. メッシュツールを選択

上図のように画面左部にあるツールボックスからメッシュツールを選択します。

  
初期設定ではメッシュツールにはキーボードショートカットは設定されていません。

続いて、画面上部のツールコントロールでメッシュグラデーションの設定を行います

22. メッシュグラデーションの設定を行う
22. メッシュグラデーションの設定を行う

上図のようにツールコントロールの "新規:" の[メッシュグラデーションを作成]ボタン([メッシュグラデーションを作成]ボタン)と[フィルのグラデーションを作成]ボタン([フィルのグラデーションを作成]ボタン)を選択し、行を 4 に、列を 8 に変更します。

"新規:" のボタンの意味は以下の通りです。

操作/コマンド 説明
[メッシュグラデーションを作成]ボタン メッシュツールでドラッグしたオブジェクトに格子状のメッシュグラデーションをかける
[円錐グラデーションを作成]ボタン メッシュツールでドラッグしたオブジェクトに円錐状のメッシュグラデーションをかける
[フィルのグラデーションを作成]ボタン メッシュツールでドラッグしたオブジェクトのフィルにグラデーションをかける
[ストロークのグラデーションを作成]ボタン メッシュツールでドラッグしたオブジェクトのストロークにグラデーションをかける

つまり、先ほど作成したパスのフィルに格子状のグラデーションをかけるという意味になります。

なお、行と列はメッシュの格子の網目の数のことであり、今回は4行 x 8列の計32マスの網目のメッシュを作成します

では、メッシュを作成しましょう。 選択中のオブジェクトのバウンディングボックス内をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグすることでメッシュグラデーションが作成されます。

23. バウンディングボックス内をドラッグ
23. バウンディングボックス内をドラッグ

上図のようにバウンディングボックス内をドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

24. バウンディングボックスにピッタリと収まるようにメッシュが作成される
24. バウンディングボックスにピッタリと収まるようにメッシュが作成される

上図のようにバウンディングボックスにピッタリと収まるようにメッシュが作成されます。 メッシュは設定した通りの4行 x 8列の計32マスです

なお、菱形で描かれているのは『角』と呼ばれる網目の交差点です。 この『角』が、色を設定するための場所です。 丸で描かれているのはハンドルで、メッシュの枠の線を曲げるために使用します。

次にやるべき作業は、角を移動させてメッシュの形状をバナナの形に合わせることです。 そのためには、移動させる角を選択する必要があります。 では、任意の角を選択してみましょう。

25. 角をクリック
25. 角をクリック

上図のように任意の角をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

26. 角が選択される
26. 角が選択される

上図のようにクリックした角が灰色から青色に変化します。 これは、角が選択状態になったことを表しています。 選択されていない角は灰色で、選択中の角は青色で描画されます

また、ハンドルが矢印の形状に変化しています。 角を選択すると、その角から伸びているハンドルは矢印に変化します。 矢印の方向は、そのハンドルの根本の角を指します(どの角から伸びているハンドルか判別しやすいようになっている)。

なお、SHIFTキーを押しながらマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすると追加選択になります。

メッシュの枠の線をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすると両端の角が選択されます。 この操作の場合も、SHIFTキーを押しながらだと追加選択になります。

また、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグで囲んで選択することもできます。 同じくこの操作でも、SHIFTキーを押しながらだと追加選択になります。

まだ説明しておきたいことがあります。 マウスカーソルをハンドルの上に乗せてください

27. メッシュの枠の線が赤色になる
27. メッシュの枠の線が赤色になる

上図のようにそのハンドルで操作できるメッシュの枠の線が赤色に変化します。 このように、角を選択しなくてもハンドルがどのメッシュの枠の線に影響を与えるかを知ることができます

では、角を移動しましょう。 キーボードのカーソルキーの左()を押し続けてください

28. 選択中の角が移動する
28. 選択中の角が移動する

上図のように選択中の角が左に移動します。 なお、SHIFTキーを押しながらだと大きく、ALTキーを押しながらだと細かく移動させることができます

では続いてマウスで角を移動させてみましょう。 角をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でドラッグします。

29. 角をドラッグ
29. 角をドラッグ

上図のように角をドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。

30. ドラッグした角が移動する
30. ドラッグした角が移動する

上図のようにドラッグした角が移動します。

では、これまで説明した角の移動方法を駆使してメッシュの形状をバナナの輪郭に合わせてください。 実際にバナナに格子状の網目を巻くように形作ってください。

  
オブジェクトやノードの変形の時のような、変形ハンドルはありません。 整列と配置ダイアログで角を操作することもできません。 キーボードの.(ピリオド)や,(カンマ)での拡大縮小、キーボードの][での回転の機能もありません。
  
正確にはキーボードの.(ピリオド)や,(カンマ)での拡大縮小は行なえます。 ただし、選択中の角のみが対象ではなく、オブジェクト(バナナのパス)そのものが拡大縮小します。
31. 角を移動させてメッシュをバナナの輪郭に合わせる
31. 角を移動させてメッシュをバナナの輪郭に合わせる

上図のように角を移動させてメッシュをバナナの輪郭に合わせます。 重要なのは角が下絵のバナナの写真からはみ出さないことです。 なお、今回はわざと一部の角がバナナの輪郭の外に位置するようにしています(先端の角がはみ出している)。

  
メッシュの枠の線がたるんでヨレヨレになっていますが気にする必要はありません。 メッシュの枠の線は、後でキレイに整えます。
  
Inkscape 0.92系にはハンドルを非表示にするためのボタンがありましたが、Inkscape 1.0以降は見当たりません。 ハンドルが表示されたままだと見づらくて仕方ないです。

ではここで全ての角を選択しましょう。 キーボードのCTRL+Aを押します

32. 全ての角が選択される
32. 全ての角が選択される

上図のように全ての角が選択されます。

ではここで、メッシュの枠の線の種類をベジェ曲線から直線に変えます。 これはヨレヨレになったメッシュの枠の線をキレイにするためです。

33. ツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタンを押す
33. ツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタンを押す

上図のようにツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン([選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン)を押します(またはキーボードのALT+Bを押します)。

34. メッシュの枠の線が直線になる
34. メッシュの枠の線が直線になる

上図のようにメッシュの枠の線が直線になります。 ヨレヨレだったメッシュの枠の線が美しくなりました

ただし、ハンドルが消えています。 ハンドルが消えた理由は、メッシュの枠の線が直線になって曲げることができなくなったためです。 そのため、不要になったハンドルが表示されなくなったというわけです

メッシュの枠の線がキレイになったので、メッシュの枠の線の種類をベジェ曲線に戻しましょう

35. ツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタンを押す
35. ツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタンを押す

上図のようにツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン([選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン)を押します(またはキーボードのALT+Bを押します)。

36. メッシュの枠の線がベジェ曲線に戻る
36. メッシュの枠の線がベジェ曲線に戻る

上図のようにメッシュの枠の線がベジェ曲線に戻ります。 また、ハンドルが表示されているのがわかります。 つまり、メッシュの枠の線を曲げることができるようになっています

では、ハンドルを操作してメッシュの枠の線をバナナの輪郭に添わせてください。 実際にバナナに格子状の網目を巻くように、表面の凹凸を想像しながら形作ってください。

37. メッシュの枠の線を曲げてバナナの輪郭に合わせる
37. メッシュの枠の線を曲げてバナナの輪郭に合わせる

上図のようにメッシュの枠の線を曲げてバナナの輪郭に合わせます。 これで、メッシュの形状をバナナに合わせる作業は終わりました

次の記事へ

長くなってきましたので、一区切りします。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

選択中のオブジェクトのバウンディングボックス内をメッシュツールでドラッグすることで、メッシュが作成されます。 格子状のメッシュと円錐状のメッシュがありますが、どちらが作成されるかはツールコントロールの "新規:" のボタンの設定によります。 また、フィルにグラデーションがかかるかストロークにグラデーションがかかるかも、ツールコントロールの "新規:" のボタンの設定によります。 同様に、メッシュの行と列の数もツールコントロールの設定によります。

メッシュのハンドルは円で描かれますが、関連する角を選択中は矢印で描かれます。 なお、ハンドルの矢印は根本の方向を指します。 また、ハンドルにマウスカーソルを乗せると、関連する線が赤色で表示されます。

メッシュを選択したら、マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のクリックで角を選択できます。 なお、メッシュの線をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすることで両端の角を選択できます。

どちらの操作でも、SHIFTキーを押しながらだと追加選択になります。

操作/コマンド 説明
(メッシュツール選択中)
(角の上で)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
角を選択する
(メッシュツール選択中)
(角の上で)
SHIFT+マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
角を追加選択する
(メッシュツール選択中)
(メッシュの線の上で)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
メッシュの線の両端の角を選択する
(メッシュツール選択中)
(メッシュの線の上で)
SHIFT+マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)
メッシュの線の両端の角を追加選択する

角をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグで囲んで選択することもできます。 この操作の場合も、SHIFTキーを押しながらだと追加選択になります。

操作/コマンド 説明
(メッシュツール選択中)
マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
ドラッグ開始位置・終了位置を対角とした矩形の範囲内の角を全て選択する
(メッシュツール選択中)
SHIFT+マウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグ
ドラッグ開始位置・終了位置を対角とした矩形の範囲内の角を全て追加選択する

選択中の角はマウスやカーソルキー()で移動することができます。 SHIFTキーを押しながらだと大きく、ALTキーを押しながらだと細かく移動させることができます。

角を移動するとメッシュの枠の線が乱れますが、ツールコントロールの[選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン([選択中の枠をベジェ曲線/直線に]ボタン)を押して一度直線にし、もう一度同じボタンでベジェ曲線に戻すことでキレイに整理しつつハンドルで操作できるようになります。

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