オブジェクトの整列の機能について説明します。 整列とは、オブジェクトを何らかの基準に揃えて並べる機能です。
整列するオブジェクトは1つでも複数でも構いません。 また、基準には選択中の範囲・ページ・他のオブジェクトなど、豊富な選択肢が用意されています。
では、オブジェクトを整列してみましょう。 いくつかのシェイプを適当に配置した画像を用意します。
上図のように矩形・円・星形のシェイプが乱雑に並んだ画像です。 これらの全てのオブジェクトを対象に整列させてみましょう。
まず、全てのオブジェクトを選択します。 整列させるには、まずは選択しなくてはなりません。 選択されていないオブジェクトは整列の対象外となります。
上図のように全てのオブジェクトを選択します。 続いて、整列と配置ダイアログを開きます。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"オブジェクト(O)" -> "整列と配置(A)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Aを押します)。
上図のように整列と配置ダイアログが開きます。 このダイアログでは、オブジェクトの整列だけでなく、オブジェクトの配置・再配置・重なりの除去、およびノードの整列・配置が行えます。
今回はオブジェクトの整列を行います。 実際に整列してみましょう。
上図のように基準リストの "選択範囲" を選択し、[中心を垂直軸に合わせる]ボタン()を押します。
上図のようにオブジェクトの中心が垂直軸に沿うように整列されます。 基準となった垂直軸は選択範囲の中心です(垂直軸はもちろん見えません)。
基準リストで "選択範囲" を選択していたため、選択範囲が基準となりました。 全てのオブジェクトを選択していたので、全てのオブジェクトを囲む最小の枠の中心を通る垂直軸が基準となったというわけです。
もっと整列の例を紹介しておきたいので、オブジェクトを元の位置に戻しましょう。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "元に戻す(U)"を実行します(またはキーボードのCTRL + Zを押します)。
では、別の指定でも整列してみましょう。
上図のように基準リストの "選択範囲" を選択し、[左端で揃える]ボタン()を押します。
上図のように左端が揃うようにオブジェクトが整列されます。 基準となったのは選択範囲の左端です。
まだまだ説明しておきたいことがありますので、オブジェクトを元の位置に戻します。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "元に戻す(U)"を実行します(またはキーボードのCTRL + Zを押します)。
続けて、別の指定でも整列してみます。
上図のように基準リストの "ページ" を選択し、[左端で揃える]ボタン()を押します。
上図のように左端が揃うようにオブジェクトが整列されます。 基準となったのはページの左端です。 このようにページを基準にして整列することもできます。
では、再度オブジェクトの位置を戻しましょう。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "元に戻す(U)"を実行します(またはキーボードのCTRL + Zを押します)。
さらに別の指定でも整列してみましょう。
上図のように基準リストの "最後の選択部分" を選択します。 "最後の選択部分" を選択すると、最後に選択したオブジェクトが基準となります。
では、基準にしたいオブジェクトを最後に選択されたオブジェクトにしましょう。 そのオブジェクトの選択を解除し、再度選択することで最後に選択されたオブジェクトにします。
上図のように基準にしたいオブジェクトをSHIFTキーを押しながらマウスの左ボタン()でクリックします。
今回の例では、黒色の星形のシェイプを基準にします。
上図のように黒色の星形のシェイプが選択解除されます。 では、再度選択しましょう。
上図のように黒色の星形のシェイプをSHIFTキーを押しながらマウスの左ボタン()でクリックします。
上図のように黒色の星形のシェイプが追加選択されます。 これで準備が整いましたので、整列を実行しましょう。
上図のように[オブジェクトの右端を基準の左端に揃える]ボタン()を押します。
上図のように整列されます。 黒色の星形のシェイプは動いていません。 他のオブジェクトは、自身の右端が黒色の星形のシェイプの左端に揃うように整列されています。 このように他のオブジェクトを基準にして整列することもできます。
最後に、テキストを含む場合の整列についても説明しておきます。 テキストの場合、シェイプと同じ要領で整列しても美しく並べることはできません。
大文字の Q (キュー)や小文字の j (ジェイ)および y (ワイ)など、文字の一部が他の文字よりも下に飛び出していなければ美しく見えない文字があるためです。 シェイプと同じ要領で整列してしまうと下に飛び出さないため、不自然な見た目になってしまいます。
フォントには、ベースラインと呼ばれる文字の見た目を揃えるための基準線があります。 Inkscapeにはベースラインで整列する機能がありますので、ここで紹介しておきます。
上図のように2つのテキストを持つ画像を用意します。 小文字の y(ワイ)がベースラインよりも下に飛び出ている文字です。 なお、上下位置はわざとずらしています。
上図のようにバウンディングボックスの下端で揃ってしまいました。 このように、シェイプと同じ要領で整列してもきれいには並びません。
Inkscapeにはベースラインで揃える機能がありますので、それを使って整列しましょう。
上図のように[テキストのベースラインを揃える]ボタン()を押します。
上図のようにベースラインで整列されます。 このように、テキストを含む場合はベースラインで揃える必要があります。
整列の機能を使うことで、複数のオブジェクトをきれいに並べることができます。 基準になるものは、選択範囲、オブジェクト、ページなど豊富な種類が用意されています。 また、テキストを含む場合はベースラインで揃えなければ美しく見えません。