Inkscapeのテキストは、通常のテキスト・流し込みテキストともにパスに沿って曲げることができます。 パスに沿わせた後も文字の情報は失わないため、文字として編集することができます。
なお、矩形以外のシェイプなら、パスに変換しなくてもテキストを沿わせることができます。 マニュアルには、
Note that Shapes except for Rectangles are described internally by Inkscape as paths and thus don't require converting to a path.- 引用元 -http://tavmjong.free.fr/INKSCAPE/MANUAL/html/Text-Path.html
と記載されています。 矩形以外のシェイプは、Inkscapeの内部ではパスとして扱われているのでパスに変換する必要はない、とのことです。
逆に言えば、矩形のシェイプだけはパスに変換しないとテキストを沿わせることはできないってことですね。
では、テキストを作成して楕円に沿わせてみましょう。 楕円にテキストを沿わせた後は、楕円は見えないようにします。
まずは、新規ドキュメントを開き、次にテキストツールに切り替えます。
上図のように画面左部にあるツールボックスからテキストツールを選択します(またはキーボードのT(またはF8)を押します)。
続いて、フォントとフォントスタイルおよびフォントサイズを指定しましょう。
上図のように画面上部にあるツールコントロールでフォントとフォントスタイルおよびフォントサイズを指定します。
では、通常のテキストを作成します。
キャンバス上の任意の場所をマウスの左ボタン()でクリックします。
上図のように作成したいテキストの左下の位置ををクリックします。
上図のようにテキストカーソルが表示されますので、キーボードから適当な長さのテキストを入力してください。
上図のように適当な長さのテキストを入力します。 なお、このテキストが楕円に沿わせるテキストです。
次に、楕円を作ります。
上図のように画面左部にあるツールボックスから円/弧ツールを選択します(またはキーボードのE(またはF5)を押します)。
では、楕円を作成します。
作成したい楕円を囲む矩形の対角線をマウスの左ボタン()でドラッグします。
上図のように作成したい楕円を囲む矩形の対角線をドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。
上図のように楕円が作成されます。 この楕円にテキストを沿わせますが、内部領域が塗られていない方が説明には適しているのでフィルを削除しましょう。
上図のように画面左下の "フィル" の右の "アンセット" を、マウスの右ボタン()でクリックします。
上図のようにメニューが表示されますので、"フィルを削除"を実行します。
上図のように楕円からフィルが削除されました。 ストロークが設定されていないため、バウンディングボックスとハンドルしか表示されていません。 これでは楕円が見えませんので、ストロークに黒色を設定しましょう。
上図のように画面左下の "ストローク" の右の "アンセット" を、マウスの右ボタン()でクリックします。
上図のようにメニューが表示されますので、"黒"を実行します。
上図のように楕円の境界に黒色の線が引かれました。 これで、テキストと楕円が揃いました。
テキストを楕円に沿わせるには、両方のオブジェクトを選択しておく必要があります。
上図のように画面左部にあるツールボックスから選択ツールを選択します(またはキーボードのS(またはF1)を押します)。 では、テキストと楕円の両方を選択しましょう。
上図のようにテキストと楕円の両方を選択します。 両方を選択したら準備完了ですので、実際にテキストを楕円に沿わせましょう。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"テキスト(T)" -> "テキストをパス上に配置(P)"を実行します。
上図のようにテキストが楕円に沿って曲がります。 見にくいですが、テキストは楕円の0度(中心から右)から始まります。
ではここで、楕円を変形させてみましょう。 まずは楕円のみを選択してください。
上図のように楕円のみを選択します。 選択されているのが本当に楕円なのかは、画面下部の通知エリアで確認できます。
上図のように通知エリアに、"円/弧" と表示されていることから、楕円が選択されているのがわかります。 では、楕円を縦に広げてみましょう。 拡大縮小ハンドルをドラッグします。
上図のように拡大縮小ハンドルをドラッグします。 赤色の矢印はドラッグの動きを表しています。
上図のように楕円が縦に広がりました。 そして、テキストも楕円に沿って変形していることがわかります。 このように、パスを変形させると沿わせているテキストも追従して変形します。
では次に、楕円を水平反転させてみましょう。 どうなるでしょうか。
上図のように画面上部にあるツールコントロールの[選択オブジェクトを水平方向に反転]ボタン()を押します。
上図のようにテキストが楕円の内側に移動します。
では、変更を戻しましょう。 画面上部のプルダウンメニューの"編集(E)" -> "元に戻す(U)"を実行します(またはキーボードのCTRL + Zを押します)。
上図のようにテキストが元の状態に戻ります。 今度は、垂直反転させてみましょう。
上図のように画面上部にあるツールコントロールの[選択オブジェクトを垂直方向に反転]ボタン()を押します。
上図のようにテキストが楕円の内側に移動します。
長くなってきましたので、そろそろ一区切りしましょう。 続きは次の記事を参照ください。
通常のテキストも流し込みテキストも、パスに沿って曲げることができます。 ただし、テキストが流し込みテキストであった場合は、通常のテキストに変換されます。
矩形以外のシェイプは内部的にはパスとして管理されているため、パスに変換しなくてもテキストを沿わせることができます。
なお、沿わせるパスのフィルは削除しておいたほうが作業しやすいでしょう。 また、沿わせるパスの変形を終えたらストロークも削除しておきましょう。
パスを変形・移動させると、関連付けられているテキストも同じだけ変形・移動します。 また、パスを水平反転・垂直反転させることで、テキストの沿う位置を反転させることができます。