この記事では、今までほとんど説明してこなかったレイヤの機能について解説します。 レイヤとは文字通り層のことであり、レイヤの機能を利用することでキャンバスを層で分けることができます。
レイヤは、昔ながらのアニメーションのセルのようなものです。 透明なガラスの板のようなものと言ってもいいかも知れません。 それぞれのレイヤにはオブジェクトを配置することができ、レイヤには上下関係があります。 そのため、上位のレイヤのオブジェクトは、下位のレイヤのオブジェクトを隠します。
レイヤの上下関係はいつでも入れ替えることができます。 また、それぞれのレイヤは、非表示にしたりロックをかけることもできます。 非表示にされたレイヤのオブジェクトは表示されなくなり、ロックされたレイヤのオブジェクトは編集することができなくなります。
では、実際にレイヤを使ってみましょう。 まずは、新規ドキュメントを開いた直後の状態から見てみましょう。 画面下部の通知エリアの左にあるレイヤ情報欄を見てください。
上図のように "Layer 1" と表示されています。 これは、現在、"Layer 1" という名前のレイヤが選択されていることを示しています。 なお、"Layer 1" というレイヤは、新規にドキュメント開くと自動的に作成されるレイヤです。
ではここでレイヤーダイアログを開いてみましょう。 レイヤーダイアログは、レイヤを管理するためのダイアログです。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "レイヤー(S)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Lを押します)。
上図のようにレイヤーダイアログが開きます。 上部にはレイヤ一覧があり、その下にはレイヤ操作用のボタンがあります。 また、さらに下にはブレンドモード・ぼかし・不透明度があります。
では、レイヤ一覧に注目してください。 一覧には、"Layer 1" レイヤしかありません。 これは、新規にドキュメントを開くと、"Layer 1" という名前のレイヤのみしか作成されないためです。
では次にレイヤの追加を行ってみましょう。 操作方法は3つありますが、まずは画面上部のプルダウンメニューから操作してみましょう。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "新規レイヤー(A)..."を実行します(またはキーボードのSHIFT + CTRL + Nを押します)。
上図のようにレイヤーを追加ウィンドウが開きます。 レイヤー名と位置は初期値のままで、[追加(A)]ボタンを押しましょう。
上図のように新たに "Layer 2" という名前のレイヤが追加されます。 レイヤーを追加ウィンドウで、位置を "現在のレイヤーの前面側" にしていたため "Layer 1" レイヤの前に追加されました。 また、新たに追加された "Layer 2" レイヤが現在選択されています(色が付いている)。
続いてはレイヤ操作用のボタンからレイヤを追加してみましょう。
上図のように[新規レイヤーを作成します]ボタン()を押します。
上図のようにレイヤーを追加ウィンドウが開きますので[追加(A)]ボタンを押します。
上図のように新たに "Layer 3" という名前のレイヤが追加され、選択された状態になっています。
では次に、レイヤ用のサブメニューからレイヤを追加してみましょう。
上図のようにレイヤ一覧の "Layer 3" レイヤをマウスの右ボタン()でクリックし、表示されるサブメニューの"新規レイヤー(A)..."を実行します。
上図のようにレイヤーを追加ウィンドウが開きますので[追加(A)]ボタンを押します。
上図のように新たに "Layer 4" という名前のレイヤが追加され、選択された状態になります。
これで、画面上部のプルダウンメニューから追加する方法、レイヤ操作用のボタンで追加する方法、レイヤ用のサブメニューから追加する方法の3つを説明しました。
このように、レイヤはプルダウンメニュー・レイヤ操作用のボタン・レイヤ用のサブメニューの3箇所で操作することができます。
では、あと2枚ほどレイヤを追加してください。
上図のようにレイヤは合計6枚になります。 なお、選択されているのは、"Layer 6" レイヤです。
ここからは、レイヤの切り替えの説明に入ります。 レイヤの切り替えとは、他のレイヤの選択のことです。 まずは、1つ下位のレイヤ、つまり1つ背面のレイヤを選択してみましょう。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "背面のレイヤーに切り替え(W)"を実行します(またはキーボードのCTRL + PageDownを押します)。
上図のように下位のレイヤである "Layer 5" レイヤが選択されます。 また、画面下部のレイヤ情報欄にも注目してください。
上図のように画面下部のレイヤ情報欄も連動して "Layer 5" レイヤが選択されています。
続いては、レイヤ一覧でレイヤを選択してみましょう。
上図のようにレイヤ一覧の "Layer 3" レイヤをマウスの左ボタン()でクリックします。
上図のようにクリックした "Layer 3" レイヤが選択されます。
続いては画面下部のレイヤ情報欄での選択方法です。
上図のようにレイヤ情報欄の一覧から "Layer 1" レイヤを選択します。
上図のようにレイヤ一覧も連動して "Layer 1" レイヤが選択されています。
では次に、レイヤの削除について説明します。 なお、レイヤを削除すると、そのレイヤに配置されているオブジェクトも削除されます。
上図のように画面上部のプルダウンメニューの"レイヤー(L)" -> "現在のレイヤーを削除(D)"を実行します。
上図のように選択中のレイヤが削除されます。 また、新たに "Layer 2" レイヤが選択されています。
続いてはレイヤ操作用のボタンからレイヤを削除してみましょう。
上図のように[現在のレイヤーを削除します]ボタン()を押します。
上図のように選択中のレイヤが削除されます。
続いては、レイヤ用のサブメニューからレイヤを削除してみます。
上図のようにレイヤ一覧の "Layer 3" レイヤをマウスの右ボタン()でクリックし、表示されるサブメニューの"現在のレイヤーを削除(D)"を実行します。
上図のようにクリックしたレイヤが削除されます。
長くなってきたので、そろそろ一区切りします。 続きは次の記事を参照ください。
Inkscapeでは、レイヤを使ってキャンバスを層で分けることができます。 レイヤは透明なガラスの板のようなもので、それぞれのレイヤ上にオブジェクトを配置することができます。 なお、ドキュメントを新規に開いた状態では、"Layer 1" という名前のレイヤのみが存在します。
レイヤには上下関係があり、上位のレイヤのオブジェクトは下位のレイヤのオブジェクトを覆い隠します。 なお、レイヤの上下関係はいつでも入れ替えることができます。
また、それぞれのレイヤは、非表示にしたりロックをかけることもできます。 非表示にされたレイヤのオブジェクトは表示されなくなり、ロックされたレイヤのオブジェクトは編集ができなくなります。
レイヤはレイヤーダイアログで管理します。 キャンバスを広く取るためにレイヤーダイアログを表示させたくないのなら、画面上部のプルダウンメニューからも管理が行えます。 また、レイヤの切り替え・選択中のレイヤの非表示・ロックの操作程度であれば画面下部のレイヤ情報欄から行えます。